ゲイリーマン浩平の紀行文です。旅行中に起きたささやかな出来事を筆者らしく文章にしています。今回は台湾人に恋をして振られる迄の数ヶ月を綴っていきます。vol.1は、主に「出会い」についてです。

【2016年7月1日(金)】

仕事中に座席が隣の中田さんと「素直になっても、何も言わなくても、結局、答えは変わらない」という雑談を交わした。それが勇気となったのか、それで自棄になったのか、今でもよくわからない。ただ、妙に記憶に残っているだけだ。17:30の終業のチャイムと同時に、成田空港に向かった。サーバー室に置いていたスーツケースを転がしながら、エレベーターを待っていると、どこからともなく部長が現れた。「あれ?どこか行かれるんですか?」と聞かれたので「台湾に行ってきます」と答えると「気をつけて」と力強く言われた。台湾は実際に外国ではあるが、旅の目的は、忠永に会いに行くためだった。その為、旅行というよりは、どこか帰省に似た感覚を抱きながら、自分は会社を後にした。

チャイナエアラインCI109は、21:20成田空港発だ。会社は日暮里駅から徒歩10分の場所にあるため、17:43日暮里発の京成アクセス特急で空港に向かうことにした。ここのところ、天気があまり良くなかったが、この日、雨は降らなかった。そんなことすら恋愛をしていると、ふと喜ぶことができた。

忠永とは、台北に市内にある大上海というゲイサウナで知り合った。その日の自分は不思議な程、よくモテた。皇鼎に行けば、館内で一番イケメンだと思った兄貴とヤれてしまうし、大上海に行けば、可愛らしい子を糸も簡単に掘ることができた。1日に2発も射精して、これで気分良く寝れると帰ろうとしていた矢先「Are you Japanese?」と忠永に話し掛けられた。目がくりっとして、唇の厚い青年だと思った。「How come you know?」と聞き返すと、スマホを手に取り、驚いた表情を浮かべ “Ehhh” と声を出して「This is Japanese」といった。スマホを操作している時のリアクションで自分が日本人だとわかったらしい。

しばらく会話をして「Let’s talk more in the room」と言われ、我々は個室に入った。もうこの時点で自分は察していた。ドアが閉まれば、すぐに本当の意味でのトークが始まると。しかし、待てど暮らせど忠永は何もしてこない。お互いにギンギンに勃起したちんぽを見せ合いながら、仕事や趣味の話を続けた。忠永が「It’s first time to visit gay sauna, actually」と照れ臭そうにいうので「Why did you come here?」と聞くと「Because I saw you came into here」と答えた。実は、大上海に入る前、偶然にも友人のKさんとバッタリ会い、通りで日本語で会話をしていたのだ。彼はそれを見掛けたのだという。そして、Kさんと別れ、大上海に自分が入っていったので、追いかけるように自分もここにきたというのだ。ちょっと怖いと思ったのと同時に「How come you know I am gay?」と聞くと「Your friend!」と忠永は笑った。自分も笑った。運命だと思った。そして、彼にキスをした。

台湾に向かっている。もうすぐ忠永に会える。初めて会った日から毎日のようにテレビ電話をしていたが、ここ数日は一切連絡がない。仕事柄、昼夜問わず忙しいのは聞いていたが、何か違う距離感だった。ただ、実際に距離があるので、さほど気にはしていなかった。今更になって、緊張が高まる。でも、答えは一つしかないのだから、答え合わせがしたい。体だけでなく、今度は心の。

続く・・・

※プライバシーに配慮して、登場人物の名前は偽名になっています。また、若干の妄想も含まれています。

<最終編集:2016年6月>

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