ゲイリーマン浩平の紀行文です。旅行中に起きたささやかな出来事を筆者らしく文章にしています。今回は台湾人に恋をして振られる迄の数ヶ月を綴っていきます。vol.5は、主に「セックス」についてです。


亞洲日和「台湾失恋物語」vol.4

男同士の性交に何の意味があるか?と問われれば、快楽の追求か愛情の確認だと思う。ホテルに戻った忠永と自分は、愛情の確認をするのだと思っていた。ただ、そこにはゲイ特有の悩みがあった。お互いにタチなのである。自分は、ウケもできなくはないがウケをする時は、相手は金で買った相手と決めている。快楽の追求に恋愛感情は邪魔なのだ。

忠永は服を脱ぎ、下着姿でベッドの上に横になった。そして、隣においでよとベッドをポンポンと叩いた。自分も下着姿になり、忠永の横に寝転んだ。しばらくテレビを見ていたが、台湾のニュースを見ていてもほとんど理解できなかった。この日の台湾は、蔡英文総統のニュースで持ち切りだった。忠永は腕枕をしようと自分の肩に手を回すが、どうも居心地が悪い。あんなに触れたかった彼の体と自分の体がまるで磁石のように反発し合っているようだった。

体は上手く馴染まないが、心は彼を強く求め、ちんぽは熱くなった。忠永も勃起していた。そして、3カ月ぶりのキスを交わした。忠永の唇はとても柔らかく、マシュマロのように甘かった。実は、前回会った時は、完全に自分が優位な立場にいた為、自分だけが射精をしてさっさと行為を終わらせていた。その反省もあって、今回はベッドの上で自分なりに愛情を表現しようと思っていた。シャワーを浴びようと促され、一緒にシャワーを浴びた。シャワールームはそんなに広くないので、お互いに体を擦り合わせ、前戯を愉しんだ。そして、同じボディソープ匂いを纏って、ベッドに流れ込んだ。

唇を合わせ、乳首を弄り、初めて忠永のちんぽを口に含んだ。忠永の口からは吐息が漏れ、感じているのがわかった。それが嬉しかった。性交に喜びを感じたのは、生まれて初めてだったかもしれない。—今、この文を書きながら思ったが、女が喜ぶと書いて「嬉しい」、漢字とは実によくできた言語だ。— フェラチオは、喉元過ぎた頃が一番気持ちいい。喉輪締めにも挑戦してみたが、失敗し大いにむせ込んだ。記憶に残るようアナルを舐めてみたが「Oh, my god!」と拒絶気味な反応だったのでやめた。ベッドの上で愛情の表現をするのは、慣れていないせいか、なかなか難しかった。

忠永も反撃と言わんばかりに、自分の股を開き、ちんぽを擦りつけ、覆い被さってきた。久しぶりに感じる男の重みである。アナルに挿入こそしていないが、反発し合っていた体が徐々に馴染んでいくような気がした。ぐっ、ぐっ、とベッドがきしみ、心の中に何かが入っていくような感覚に陥った。体勢を戻し、乳首を舐めながら、忠永のちんぽを握り、射精を促した。「イってほしい?」と聞かれたので「うん」と答えると、彼は表情を歪め、腹の上に射精をした。ザーメンを拭く間もなく、忠永はすぐにスマホを確認し、何も言わずシャワーを浴びに行った。ベッドに取り残された自分は、悶々とした気持ちを抱えながら、ただ彼を見つめていた。こうして、我々は愛情の確認を終えた。

続く・・・

※プライバシーに配慮して、登場人物の名前は偽名になっています。また、若干の妄想も含まれています。

<最終編集:2016年8月>


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